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目 次 |
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1.ボリンジャーバンドとは? |
2.ミッドバンド |
3.標準偏差(±1σ・±2σ) |
4.ミッドバンドと標準偏差σ |
5.正規確率分布 |
6.ボリンジャーバンドの3つの状態 |
・・・(1) スクイーズ |
・・・(2) エクスパンション |
・・・(3) バンドウォーク |
7.ボリンジャーバンドの注意点 |
こんにちは。 よく相場に対して「そろそろ大きく動きそう」「今は値動きが小さい」なん言葉を 聞いたことがあると思いますが、それはいったい何を根拠にそう言っているのか?
この疑問を解消する答えはいくつかありますが、 今回は最も有名なテクニカル指標と言っても過言ではないボリンジャーバンド を例に解説したいと思います。
※テクニカル指標は、仮想通貨に限らず株・為替など全ての金融市場に適用することができます。
ボリンジャーバンドは、 アメリカのジョン・ボリンジャーが考案したテクニカル指標で 移動平均線と統計学を利用することにより価格の値動きの荒さを分析することができます。
ボリンジャーバンドは次の5本線で構成されてます。
(1)ミッドバンド1本線
(2)+1σ、-1σ、+2σ、-2σの4本線
チャートを見ると価格を表すローソク足の他に5本の線が引かれているのがかわると思います。 これをまとめてボリンジャーバンドと言います。
※±3σを含めた7本線の場合もありますが一般的にはあまり利用しません。
いきなり統計学やσ(シグマ)という単語を聞いて耳が痛くなるかもしれませんが、 大概の方は学生時代に一度は勉強したことがある内容で あまり難しく考える必要はありません。 何を意味しているのかだけでも知っておくと、今後の売買を少しだけスムーズに進めることができます。
それでは、各バンドの詳細を見ていきましょう。
ミッドバンドとは、呼び方は違いますが単純移動平均線のことです。 一般的に20日間の単純移動平均線(20SMA)を利用します。真ん中の白いです。
ちなみに20SMAとは「Simple Moving Average」の頭文字をとっており、名前の通り 単純な価格の平均値を示しています。
例えば、当日の20SMAを求める計算式は・・・
当日の終値から19日前の終値(最終的な価格)を全て足して20で割った値になります。
当日も含める
という点だけ注意しましょう。
次は、ボリンジャーバンドの肝となるσについてです。
標準偏差というものをご存じでしょうか?ボリンジャーバンドを語る上で標準偏差は理解しなければいけない重要な要素です。 標準偏差とはデータのバラつき具合を数値化したもので、 数値が大きければ大きい程データのバラつきが大きく(値動きが荒い)、小さい程バラつきが小さい(価格があまり動いていない)という事になります。 移動平均線のような平均値だけでは値動きの荒さを判断する事ができないため標準偏差を絡める必要があります。
なぜ平均値だけではダメなのか?
その答えは、次の(1)と(2)の平均値をそれぞれ求めてみるとわかります。
(1)110、90、100、100、100、120、80、100、100、100
(2)150、50、120、80、100、180、20、100、110、90
(1)(2)ともに平均値は100になります。
次に、(1)と(2)ではどちらがデータにバラつきがあるように見えますか?
パッと見た感じでは(2)のような気がしますよね?
先に答えを言うと(2)の方がバラつきがあります。
今はデータの個数も少なく、中身をしっかり見ているため なんとなくバラつきが大きい方は感覚でわかります。 しかし、中身がわからない状態で平均値100という数値だけを見せられた場合、どちらが バラつきが大きいかわかりますか?
答えは誰もわかりません。
それを解決するために標準偏差なのです。
標準偏差の求め方
標準偏差σは以下の式で計算することができます。
この公式から(1)と(2)の標準偏差をそれぞれ求めてみると・・・
(1)110、90、100、100、100、120、80、100、100、100
既にわかっている「データの平均値100」を使って先にΣを求めます。
(110-100)の二乗=100
(90-100)の二乗=100
(100-100)の二乗=0
(100-100)の二乗=0
(100-100)の二乗=0
(120-100)の二乗=400
(80-100)の二乗=400
(100-100)の二乗=0
(100-100)の二乗=0
(100-100)の二乗=0
これらをすべて足してデータの個数10で割ると、
1000/10=100
そして、√を外した値が標準偏差σになります。
(1)の標準偏差σ=10
(2)150、50、120、80、100、180、20、100、110、90
(150-100)の二乗=2500
(50-100)の二乗=2500
(120-100)の二乗=400
(80-100)の二乗=400
(100-100)の二乗=0
(180-100)の二乗=6400
(20-100)の二乗=6400
(100-100)の二乗=0
(110-100)の二乗=100
(90-100)の二乗=100
これらをすべて足してデータの個数10で割ると、
18800/10=1880
そして、√を外した値が標準偏差σになります。
(2)の標準偏差σ=43.35
どうでしょう? シグマはの値は大きければ大きいほど中身のデータにバラつきがあることを示すので、 これだったら自信を持って(2)のほうがバラつきがあると言えますね。
次は、この標準偏差を先ほどのミッドバンドに絡めてみます。
ミッドバンドに算出した標準偏差を加算したものが+1σ線、標準偏差の2倍を加算したものが+2σ線、 逆にミッドバンドから標準偏差を減算したものが-1σ線、標準偏差の2倍を減算したものが-2σ線になります。
ボリンジャーバンドが完成しました。
そして、これをどの使うのか・・・
その前に、予備知識として正規確率分布についてちょっとお話します。
計算する必要はないので意味だけ知っておいてください。
統計学上での平均値と標準偏差の関係は、次のようになります。
・-1σ~+1σ内に価格が収まる確率は68.26%
・-2σ~+2σ内に価格が収まる確率は95.55%
※これは確率密度関数を積分する事で求めることができます。このことから・・・
ボリンジャーバンドは移動平均線(平均値)を基準として20日間の価格のバラつき具合を バンド内に収まるように描画したもの
になります。
「バンド内に収まるように描画」が重要です。 この確率でバンド内に収まるという意味ではないことに注意してください。
収まるように描画しているから伸び縮みするのです。
ボリンジャーバンドの各σ線は時間経過と共に計算する値が違う(価格が変動する)ので伸縮しながら進みます。 価格が上下に大きく動いている時はバンドの幅が広くなり、あまり動いていない時はバンド幅が狭くなります。
ボリンジャーバンドには次のような状態があります。
主に価格のバラつきが小さいレンジ相場等でバンド幅がギュッと狭くなっている状態です。 これをスクイーズと言います。
(使い方)
スクイーズの時はトレードせずに静観するべし。 つまりレンジ相場になっているためバンドの外側に買いと売り、お互いにロスカットが溜まり続けている状態です。
スクイーズの状態からバンド幅が一気に開く時の状態をエクスパンションと言ってトレンド発生時によく見られます。
トレンド発生時の初動としてよく見られる現象です。
※価格が進んでいる方向と逆方向のバンドが開きます。
(使い方)
エクスパンション発生時に価格の動いた方向へ順張りエントリー。
スクイーズの時に溜まっていたロスカットを巻き込んで大きく価格が動くのでそれについていくのが正攻法です。
±1σ、±2σ、±3σ等の線に沿って動いている状態をバンドウォークと言ってトレンド発生中によく見られます。
(使い方)
バンドウォーク発生時の順張りエントリー。
エクスパンションで価格が大きく動き、それが継続している状態。 つまりトレンドが発生していることを意味します。
稀に価格が±2σにタッチしたら逆張りエントリーが有効だと思っておられる方がいます。 完全に間違いとは言えませんがあまりオススメはしません。
前提としてレンジ相場になることを予測する力が必要です。
レンジ相場が続くと判断できるのであれば、±2σタッチでの逆張りよりも 単純に水平のレジサポラインを引くだけでいい気がしません? ラインタッチの逆張りの方がわかりやすいですよね。
他にもオシレーター指標はありますし、 わざわざ伸縮するボリンジャーバンドを使う必要性はないと考えることができます。
ボリンジャーバンドのバンド幅は、 一定期間内の価格が68.26%で収まるように±1σを描画し、 95.55%で収まるように±2σを描画しているだけなので、 そこから外れるような価格がやってきた場合、バンドが広がりその価格をバンド内に収めようとするわけです。
そこから外れた価格に到達する時とはいったいどのような時だと思いますか? トレンド発生時の初動、と大陽線や大陰線をつけてその方向にトレンドが発生するのをよく見かけますよね。 そのような時に逆張りをするのは危険なのです。
トレンドの発生とトレンドの状態を見極め、 トレンドを追うように順張りするのがボリンジャーバンドの基本的な使い方になります。